夏の少女との対話 1


拙宅から15分ほど西に行くと、東久留米あたりを水源とする黒目川がある。元は落合川という名であるが、合流することで、目黒川という名となり、最終的には荒川に抱かれ、東京湾へと。

武蔵野台を湧水を元とするとあり、水質はよく、かつては生活排水によって汚染甚だしき時期もあったようだが、現在では改善され街中の川にありがちな洗剤などのケミカルな匂いもしない。様々な生き物たちも生き付き、野生の鮎も遡上し。また、運が良ければカワセミをみることもできる。

原稿仕事の合間に散歩がてら向かう。川沿いのベンチに腰掛けぼーっとしていると、少女が話しかけててきた。

こんにちはおじさん。

はい、こんにちは。何年生?

あたし、2年生。あのね、自転車乗れるようになったんだ。

すごいね。新しい自転車だね。補助輪外したんだ。

んん、補助輪のは別のやつなの。

新しい自転車の練習してるんだ。

そっか、そしたら車の来ないとこでやらないとね。

うん。おじさんなにしてるの?

おじさん、おうちでお仕事してて疲れたから、少しおやすみしてるんだ。

大人は遊んだりしないの?

そうだね。遊ぶこともあるよ。でもやることがたくさんだから、なかなか遊びには行けないんだ。

ふーん、つまんないね。