老猫(高齢猫)との暮らし方

◆老猫(高齢猫)との暮らし方

猫の平均寿命 15歳程度


日本ペットフード協会が2013に発表した日本の猫の平均寿命は15.01歳ということです。外に出る猫の場合は13.16歳、部屋飼いの場合には15.99歳と、3年ほどの差があります。これは外に出ることで、衛生面の悪さや、感染症、交通事故といったことで命を失うことがあるからです。今後は生活環境がよくなることで、さらに猫の老齢化も進んでいくことが予想されます。

人間の場合、仮に60歳の方を例に挙げるなら、かつての60歳は「おじいさん、おばあさん」というイメージでしたが、現在の60歳の方の多くは、むしろ「おじさん、おばさん」といった感じで、以前のイメージよりずっと若く感じるはず。と同様に、かつての10歳の猫は、いわゆる“老猫”でしたが、今の10歳の猫はまだまだ元気な個体も多くいます。

しかし、その頃から若いころにはなかった疾病も出てくるのは事実です。とある海外の猫学会では12歳から“高年期”という扱いで、健康診断を勧めています。

では、高齢猫の特徴とはどんなものでしょうか。チェック項目を挙げてみましょう。

高齢猫のチェックポイント

□毛並みが悪くなる

□ひげがだらんとしている

□セルフグルーミングをしなくなる

□太りはじめた

□痩せ始めた

□高い場所に登れなくなった/降りられなくなった

□ジャンプしなくなった

□寝すぎというほど寝てばかりいる

□肌にしっとり感がなくなった

□シコリができた

□口がくさくなった

□ドライフードが食べづらそう

□好奇心がなくなった

□呼んでも反応しなくなった

□多飲多尿

□トイレ以外での粗相が増えた

□便が小さく硬い

【高齢猫によくある病気】

  • 腎臓疾患
  • 肝臓疾患
  • ガン(腫瘍)
  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 尿石症
  • 歯周病(歯槽膿漏)口内炎
  • 甲状腺機能亢進症
  • 便秘
  • 認知症
  • 子宮蓄膿症
  • 白内障

【高齢猫の栄養】

高齢猫用の低脂質のものを

高齢猫の場合、高齢猫にあった栄養を当てるべきです。例えば子猫用のフードは脂肪が多い上に、高齢猫は代謝が低下しているため、太りやすいのであげるべきではありません。成猫用も同様です。ですから10歳をすぎたあたりからお腹がタプタプとして太ってきたな…と感じたら、カロリーを抑えた高齢猫用のフードに切り替えましょう。

高タンパク

タンパク質は、筋肉を構成する重要な栄養素で、維持をするためにも不可欠です。最近の研究でも高タンパクのフードを与えられている猫のほうが、筋肉の質量を維持していることが分かっています。この点からも、良質なタンパク源を与えるべきといえます。ただし、消化力も落ちていますので、極端な高タンパクフードは避けるべきです。

体重が減少している場合、甲状腺機能亢進症の場合もありますので、多少カロリーの高いものでも問題はありません。これまでと違った行動をするようになったら、ただちに獣医に相談しましょう。

また、老猫用のフードもいろんな種類がありますが、同じ物ばかりですと飽きて食べないことにもなりかねません。そこで、時々は手作りのものを与えるなど、飽きさせない工夫をしましょう。

また、ドライフードも水やヤギミルクに浸して柔らかくしてから与えると消化も良く、胃腸の負担を減らすことができます。

例)ササミ、白身魚

【高齢猫の扱い方】

■体への負担を軽減

休む場所、睡眠場所を低い位置に変える、トイレの段差をなくす、エサ皿を少しだけ高い位置にする、など可能な限り負担が少ない環境に。

■ストレスの軽減

引越しは高齢猫にとっては、大きなストレスになりますので、できるだけ避けたいものです。
新たな子猫を飼う場合にも注意で、新しい猫の存在は大きなストレス源になってしまいます。もし飼う場合には、部屋を分けるなどします。

■お手入れ ブラッシングは忘れずに!

高齢猫はセルフグルーミングをしなくなるので体が汚れがちになります。また目ヤニや鼻汁で顔が汚れることも多いにので、まめに拭いてあげましょう!
さらにシャンプーは風邪のもとになるのでやめます。ドライシャンプーや蒸しタオルなどで体を拭き、足や指の間、肛門、陰部などもまめに手入れしてあげます。また毎日のブラッシングは忘れずに行います。ブラッシングをまめに行なうことで、肌の健康を保つことができ、同時にシコリなどの早期発見にも役立ちます。また、飼い主とさんとの信頼関係がさらに深まり、元気になることも多く報告されています。

また、爪切りも定期的に行います。

■定期的な健康診断

歳をとると抵抗力が落ち感染症にもかかりやすくなります。予防接種、年1~2回の定期健康診断を受け、早期発見につとめましょう。